2021年1月29日(金)、EAA連続ワークショップ「中国近代文学の方法および射程」の第三回目として、倪文尖氏(華東師範大学中文系准教授)による講演「風格・文気・体式――如何に散文を読むのか」がオンラインで行われた。今回は70名の参加があった。
講演では、散文研究における新たな方法が提起された。それはつまり顕著な風格を持つ具体的な作家の作品を手掛かりにして、比較して読解し、散文のサブジャンルというべきものを多元的な角度から見出すという方法である。さらにテクストの形式を通じて、テクストの思想内容、及びそこに隠されている作者の独特な経験を読み取ることが要求された。そしてそのために、散文研究の最初の段階においては、伝統的な方法、つまり個人の語感や直感を重視すべきであり、ナラトロジーなど小説研究の方法を使用すべきであることが提案された。
倪文尖氏は張愛玲「公寓生活記趣」、余秋雨「道士塔」、郁達夫「故都の秋」、老舎「想北平」、史鉄生「合歓樹」という5つのテクストを対象に、繊細な分析と比較を行い、新たな散文研究の方法を実際に提示した。
散文研究は難題であることがよく知られている現在、このような新たな方法は、散文研究の新たな道を開きつつ、私たちが読解や習作を行う中で新たな思考を生み出すよう導くものであった。
講演は盛況のうちに幕を閉じ、今回を以て連続ワークショップ「中国近代文学の方法および射程」も無事終了となった。
報告:冉念周(一橋大学言語社会研究科博士課程)
EAA Art History Seminar in English
鵬程万里:RA任期を終えて 01 高原智史さん