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2025.01.27

【報告】第39回東アジア仏典講読会

2024年1221日(土)に、第39回東アジア仏典講読会をハイブリッド形式で開催した。今回は、佐久間祐惟氏(東京大学助教)が「資度第三」の残りの部分について発表を行った。当日の参加者は、対面で15名、オンラインで23名であった。

 

今回は、忍(忍辱)波羅蜜として善財童子や葉県帰省、進(精進)波羅蜜として闍夜多尊者や永明延寿、禅(禅定)波羅蜜として釈尊や智門光祚、般若波羅蜜として仰山慧寂などの求法、問答、修行が記されている。討論では、「重味」や「不意」、「閑閑地」などの語句に関する解釈や用例について議論が行われた。また、前回からの講読で残された課題として、栄西が宋国で改めて受戒したか否かについて詳しく議論された。その結果、栄西は菩薩戒を受けたというよりも、菩薩戒の血脈(図)を相承したという理解がより妥当であるとの結論に至った。

 

 

佐久間氏による『正修論』の翻刻、訳文、および検討は、将来の出版が予定されているそうである。この著作は禅宗にとどまらず、浄土宗や密教など他宗派のあり方を考察する上でどのような示唆を与えるのか。また、仏教学のみならず、隣接分野である文学、国語学、歴史学にとってどのような活用が考えられるのか。出版の暁には、これらを踏まえたより広がりのある議論がなされるものと期待する。

 

 

 

文責:黄霄龍(EAA特任研究員)