東アジア藝文書院(EAA)副院長の中島隆博と石井剛が編集した『ことばを紡ぐための哲学 東大駒場・現代思想講義』が白水社より刊行されました。
白水社HPより
『ことばを紡ぐための哲学 東大駒場・現代思想講義』
【内容説明】
ことばの過剰に抗して
「魂の救い」としての人文知
「炎上」からヘイトスピーチまで、敵が敵を生む〈ことばの過剰〉に抗して、ともに生きる場を恢復する、「知の技法」のこれから
いま世界を覆っているのは、真実の声をかき消すほどの過剰なことばの氾濫である。インターネットでSNSを開くと、そこには匿名性をいいことに罵詈雑言が溢れ、次々に「炎上」が起こり、敵が敵を生んでいく。ことばへの応接はかつてないほど困難を極めている。
本書は、東京大学教養学部で行なわれた講義「グローバル化時代の現代思想」をもとにしている。きっかけは、2011年の東日本大震災と原発事故だった。
この災害を近代の必然ととらえたとき、「人文学」はいかなるあり方が可能なのか? 日常の感覚から思考を再出発し、学問の世界にもう一度、人間を取りもどすこと――その試みが本書ということになる。
食べる、味わう、話す、聞く、触れる、知る、分ける、待つ、耐える、歌う、忘れる、書く、隠れる……
ことばの過剰と氾濫から解放されたとき、近代社会が忘れた行為が恢復していく。福澤諭吉が軽んじた「味わう」という行為、「待つ」ことの背後にあった世界の持続、まだ「歌う」ことはできるのかという根源的問い、「隠れる」ことが孕む可能性。ともに生きる自由への珠玉の講義録。
【目次】
はじめに――知の地殻変動 中島隆博
Ⅰ 日常という場で
食べる・味わう 中島隆博
話す・聞く 梶谷真司
触れる 清水晶子
座談会 来たるべきことばのために 前篇
Ⅱ システムに抗して
知る 原和之
分ける 石原孝二
待つ・耐える 星野太
座談会 来たるべきことばのために 後篇
Ⅲ <文の共同体>へ
うたう 村松真理子
書く・隠れる 石井剛
あとがき 石井剛
略歴