イベント

第17回 藝文学研究会

【日時】
2024年2月21日(水)15:00-17:00

【開催形式】
オンライン(一部対面)/Zoom(参加ご希望の方はこちらよりご登録をお願いいたします。)
EAAメンバーのみ東京大学東洋文化研究所より参加するハイブリッド形式での開催となります。

【言語】
日本語

【報告者】
田中有紀(東洋文化研究所)

【発表タイトル】
「中国中世 楽の学び:琴学と音律学」

【発表概要】
中国中世の人々は、どのようなことを「学び」として捉えていたのだろうか。本報告では、本来「楽しむ」ものである音楽を「学び」という側面から分析してみる。
中国の伝統楽器であり、世界無形文化遺産にも登録された古琴は、前近代の文人文化を代表する存在として、現在プロ、アマを問わず演奏者が増えてきている。漢代では道徳性と強く結びつけられていた古琴は、中世ではどのような存在と見なされたのか。演奏の技術、楽譜、そして琴を楽しむ雅集というあつまりを通して、中世の古琴文化を再考する。
音律学もまた、中国は独自の歴史を持つ。とりわけ魏晋南北朝時代は、科学史上でも高く評価された成果も多い。本報告でとりあげる笛の管口補正理論は、後世音律学を論じた知識人たちに参照され、音楽の「理論」と「実践」とは何かについて深く考察する契機となった。
「楽しみ」であり、「学び」でもあった中世の音楽を、私たちが直接耳にすることはできない。しかし中世は、流入する外来音楽を大きく受容し、中国の伝統音楽自体が大きく変化する時期であると同時に、日本の雅楽にも大きな影響を与えている。このような時代における「音楽とは何か」という問いは、伝統中国の範囲を超え、様々な音楽文化に囲まれている現代のわたしたちの中にも通底している問題ではないだろうか。

【コメンテーター】
古勝隆一(京都大学人文科学研究所)