1923年2月に張君勱がおこなった「人生観」と題する講演に対し、友人の丁文江が「玄学と科学―張君勱の「人 生観」を評す―」という批判論文を発表した。これに梁啓超・胡適・張東蓀ら当時の錚々たる知識人たちが加わっ て論争が展開された。同年12月にはそれらの文章を再録して『科学と人生観』(汪孟鄒編)・『人生観の論戦』(郭 夢良編)の2つの論集が刊行されている。論争の主題は、人間の意志や行為が科学によって説明可能かどうかに あった。丁文江はそれが可能だとし、張君勱の主張を玄学(形而上学の意)と呼んで斥ける。かたや張君勱は丁 文江らの科学万能主義に疑義を呈した。またマルクス主義者陳独秀は張君勱を唯心主義者と規定して批判す る。この論争は当時の知識人たちに広く影響を与えている。今回の研究会では張君勱本人のほかに唐君毅と周作人を取り上げ、歴史学・哲学・文学それぞれの立場から中国近代における人間観への理解を深める議論をし てみたい。
日時:2023年7月1日(土) 14:00~17:30
会場:二松学舎大学九段キャンパス1号館(下記サイト参照) 11階会議室
https://www.nishogakusha-u.ac.jp/about/campus/a7.html
(会場からzoomによる同時配信も行います)
14:00~14:40 小島 毅(東京大学)
唐君毅の「自作主宰」―人格尊厳の根拠として―
14:45~15:25 中村元哉(東京大学)
「科学と人生観」論争後の張君勱の人権思想と中華民国憲法 ―人間の尊厳の制度的基盤―
15:30~16:10 牧角悦子(二松学舎大学)
周作人「人の文学」に見る中国近代知識人の「人間」観
16:20~16:40 コメント 石井 剛(東京大学)
16:40~17:30 討論
問い合せ先:金光来(東京大学特任研究員)
krkim[at]l.u-tokyo.ac.jp
申し込み先:会場参加希望・オンライン聴講希望のいずれも以下のフォーマットから6月26日(月)までに申し込ん でください。zoom接続先はそのあと一斉に通知します。
https://forms.gle/viboQzBD49ya6KVa7