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第12回 学術フロンティア講義
「30年後の世界へ——学問とその“悪”について」

第12講 7月2日 
王欽(総合文化研究科、比較文学・批評理論)

「私たちの憲法“無感覚”──竹内好を手がかりとして」 
現在、戦後日本憲法に対する「護憲派」と「改憲派」の論争が陳腐化している一方で、論争の陳腐化を批判する言説も陳腐化している状況においては、憲法についての言説がたくさんあるにもかかわらず、人々の憲法に対する“感覚”が逆に薄れている恐れがある。政府側の憲法改正が独り歩きしていくなかで、もう一度考え直さなければならないのは、「平和憲法」と呼ばれている戦後憲法を守ろうとするとき、私たちはいったい何を守るべきか、ということである。今回は日本思想家・竹内好がかつて「安保運動」の最中に行った講演『私たちの憲法感覚』を手掛かりとして、この問題に取り組んでいく。憲法を守ることは、憲法起草者の意図を守るわけではなく、憲法のポテンシャルや未来を守ることでなければならない。