EAAトークシリーズ ダイキン東大ラボ後援
空気のデザイン—共に変容する(Designing Air—Through Changing Together)
第5回「水と空気の故郷・森林を守る」
本トークシリーズでは、様々な業界・分野の実務者および研究者と一緒になって、サステナブルな未来の空気をデザインすることによってもたらされる社会並びに人間の心身の変容について考えてみたいと思います。毎度企業および大学を含む研究機関等よりゲスト・スピーカーを1名ずつお招きして、サステナブルな未来社会の空気、並びにその実現に資する商品やサービス等を巡る最新のトピックや課題等についてお話を伺います。人間が何かと共に変容していくことを促すものとしての商品やサービス、ひいては環境や空気のデザインについて理解を深め、その方法論、思想、哲学を紡ぎ出していきたいと思います。
第5回は「水と空気の故郷・森林を守る」です。
「サントリー天然水の森」プロジェクトを主導されているサントリーホールディングス株式会社の山田健(やまだたけし)さんと消費主義社会における食や味覚等について研究をされている文化史・感覚史研究者の久野愛さんをお招きします。
本セッションでは、まず山田さんより「サントリー天然水の森」プロジェクトにおける水源地保全等に係る取り組みをご紹介頂くとともに、それらの活動から見えてくるお酒と生物多様性、ひいては空気の関係についてお話を頂きます。続いて、久野さんより、消費主義社会における味覚を含むあらゆる感覚体験の変化に係るご自身の研究を交えながら、山田さんのご講演に対する応答的なプレゼンテーションを頂きます。
最後に、山田さんと久野さんによるご対談を通じて、自然によって支えられている食(文化)と産業として成立している食(文化)の関係、それらを取り巻く水・森・生物多様性・空気のこれからについて考えてみたいと思います。
【日時】
2024年10月24日(木)18:00–19:45
【ゲストスピーカー】
山田健
サントリーホールディングス株式会社サステナビリティ経営推進本部シニアアドバイザー。1978年、サントリー宣伝部にコピーライターとして入社。ワイン、ウイスキー、音楽などの広告制作に従事。2000年、全国の工場の水源エリアで、地下水の涵養力の高い森を保護再生する「サントリー天然水の森」活動の企画を開始。2003年「天然水の森 阿蘇」を設定。現在、全国16都府県26か所12,000 haの「天然水の森」を舞台とした研究・整備活動を推進している。環境関係の著書に『水を守りに、森へ—地下水の持続可能性を求めて」(筑摩書房、2012年)、『オオカミがいないと、なぜウサギが滅びるのか』(集英社インターナショナル、2015年)等。その他、ワイン・ウイスキーに関する著書も多数。
久野愛
東京大学大学院情報学環准教授。専門は歴史学(感覚史・ビジネスヒストリー・技術史)で、19世紀末以降の消費主義社会の拡大による人々の感性・感覚体験の変化や、技術変化に伴う「人工」と「自然」の関係性の構築に関心がある。『Visualizing Taste: How Business Changed the Look of What You Eat』(ハーバード大学出版局、2019年。ハグリー・プライズ及び日本アメリカ学会清水博賞受賞)や『視覚化する味覚-食を彩る資本主義』(岩波新書、2021年)では、米国における食べ物の色の歴史を通して、五感を分析視角の一つとして用いることの重要性や人々の自然観の変化について論じている。
【開催概要】
一般公開
参加無料
会場&オンラインのハイブリッド開催
要事前登録
【会場】
東京ミッドタウン八重洲4階 東京大学八重洲アカデミックコモンズ
(オンラインはZoom開催)
【参加登録】
会場&オンラインのいずれもこちらで事前登録をお願いします
ご登録頂いたメールアドレスに会場案内あるいはオンラインアクセス案内を送付いたします
【定員】
会場参加の定員は40名です
会場参加登録は先着順とし、定員に達し次第、受付を終了させて頂きます
【言語】
日本語
【トークシリーズ全体の論点】
サステナブルな社会を実現するための様々な試みは、自ずと空気に係る地球的課題へのチャレンジを伴います。カーボンニュートラル達成という必須課題は無論のこと、人々を劣悪な空気環境から解放し、人々の健康やウェルビーイングを増進していくことが全人類にとって喫緊の課題になっています。
このような(実のところ)人間の生存にとってよき空気の追求は、究極的に人間に何をもたらし、あるいは何を要求するのでしょうか?私たち人間は、サステナブルな社会の空気を生み出し、維持していくためにデザインされる新たな社会システムの一部に「なっていく」ことが求められているのでしょう。それは、人間自身の心身の変容とともに、環境の改変を伴う行為、すなわち何かをデザインし、環境との応答を通じてそれらがかたちになっていくような行為を巡る新たな倫理観を要求します。
モノ、コト、サービスのデザインを通じて、いかにサステナブルな社会や新しい倫理(観)を拓くことができるのでしょうか?地球環境に圧倒的なインパクトを持つ企業活動は、いかにそれを実行することができるのでしょうか?そして、サステナブルな社会の空気をデザインすることは、私たち自身が、人間以外を含む誰かと共に、いかに変容していくことを要求するのでしょうか?
【後援】
ダイキン東大ラボ
【担当】
野澤俊太郎(EAA)