Phantasmata、あるいは物質の即興
日時:2022年12月15日(木)17:00-19:00
会場:東京大学駒場キャンパスI 18号館ホール&Zoom
講演者:ダリン・テネフ(ソフィア大学)
コメンテーター:星野太(東京大学)、郷原佳以(東京大学)、國分功一郎(東京大学)
司会:髙山花子(EAA特任助教)
使用言語:
講演:英語
コメント:日本語・英語
質疑応答:日本語・英語
要事前登録
会場参加をご希望の方はこちらのフォームからご登録ください。
Zoomでの参加をご希望の方はこちらのURLからご登録ください。
主催:東京大学東アジア藝文書院(EAA)
ファンタスマは古代ギリシャ語で、日本語の「幻(まぼろし)」と同じく、「幻想」と同時に「幽霊」という意味を持っている。本発表では、20世紀後半のフランス思想における幻想理論(具体的には、ラカン、ラプランシュ、ドゥルーズ、デリダ)をたどりながら、メタバース時代とでも呼びうる現代においてどのように幻想のことを考えるべきか、という問題を提起する。飛浩隆の2014年に出版された短編小説「海の指」(『自生の夢』、河出文庫、2019、9-60頁)をアレゴリーとして読み解き、内と外の境界を揺るがしているファンタスマタの主題を扱って、ファンタスマタと意識・無意識の関係、ならびにファンタスマタと物質の関係を論じたい。経験していないことの経験である幻想は、ラディカルな経験論を必要とするだろう。廃墟となった世界の真中で「海の指」が演奏しているのが人間を超えた幻想の、規定されることのない交響曲だとすれば、それとどう向き合うかを問いただすのはそういったラディカルな経験論であろう。
ダリン・テネフ(Darin Tenev)
ソフィア大学文学部文学理論学科准教授、 プロフディフ大学哲学・歴史学部社会学・人間学学科准教授兼任(ブルガリア)。専門は文学理論、比較文学。著書(ブルガリア語)に『虚構とイメージ』(2012年)、『逸脱――ジャック・デリダについて』(2013年)。日本語の論文に、「猫、眼差し、そして死」(南谷奉良訳、首都大学東京人文学研究科『人文学報』No.511・特集:ジャック・デリダ没後10年、2015年6月)、「世界文学のエピジェネティクス」(野網摩利子編『世界文学と日本近代文学』東京大学出版会、2019年)など。