【日時】2022年9月9日(金)15:00~16:30
【場所】Zoom(要事前登録)
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【言語】中国語
【講演者】周展安(上海大学)
【司会】石井剛(EAA)
このシリーズは中国で活躍する世代の異なる研究者との対話を試みようとするものである。この試みの重要性は、回を経るごとに次第に明らかになっていくことだろう。だが、あらかじめシリーズへの期待を端的に定めるならば、それは、中国の思想状況を知ることによって世界の未来に対する想像を広げることに他ならない。そしてこのことにおいて意図するのは、「方法としてのアジア」ではないし、「方法としての中国」ですらない。なぜなら、中国はとうにわたしたちが共に構成している世界の一部分であるからだ。このシリーズは、彼らと共に「世界する」ための一助たらんと欲している。
第2回は、若手の中国文学・思想史研究者として活躍する周展安氏を迎える。周氏は中国近代を代表する哲学者・古典学者であり革命家でもあった章炳麟(章太炎、1869−1936)に関する一連の研究で知られている。今回はその最近の論文「事の哲学:章太炎思想の基調——『国故論衡』の諸子学9篇を中心に」(2021年)について語ってもらう。章炳麟は、先秦諸子百家の思想を仏教の理論と合わせて論じることで中国近代哲学の構築に大きな役割を果たした。今日、中国近代哲学といえば現代新儒家が取り上げられることが多いが、章炳麟の主要な仕事はそれに先立つものであるだけでなく、中華人民共和国へとつながる中国の近現代革命を理論的に準備した存在としてもその意義は大きい。こうした章炳麟哲学の基調をなすのが「事の哲学」であるとする周氏の主張は、中国哲学には収まらないより広い視野での議論と対話に開かれており、特に日本哲学との比較においても大いに参考とすべき内容を含んでいると言えるだろう。
なお、講演は中国語で行われるが、事後に整理して日本語に翻訳してEAAウェブサイト上にて公開する予定である。