【概要】
加藤周一は英・仏・独語に長じた「西洋派」知識人のイメージを持ちながらも、東アジアとりわけ中国との歴史的関わりを重視し、晩年には東北アジア諸国を結ぶ共同体構築を展望していた。そんな加藤の著作活動全体のなかで、敗戦直後の文壇デビューからパリ留学を挟み1950年代末まで継続されたフランス文学論の試みは、どのような意味を持っているのか。
岩津航『レトリックの戦場 加藤周一とフランス文学』(丸善出版、2021年)は、初期作から『日本文学史序説』(1975-80年)――そこでは、フランス文学史の枠組みの参照と中国の文化伝統の重視が交錯する――に至る評論作品を主たる対象とし、これまで十分に論じられてこなかった創作にも目を配りながら、フランス文学者としての加藤の肖像を精緻に描き直すことで多くの新たな発見をもたらしている。本合評会では、この啓発的な著作の刊行を機に著者を囲み、20世紀東アジアの重要な知識人の思索を再検討する。
【日時】2022年1月26日(水)18:00-20:30
【場所】Zoom(要事前登録)
こちらよりご登録ください。
【プログラム】
18:00-18:05 司会挨拶/伊達聖伸(東京大学准教授)
18:05-18:25 報告1/三浦信孝(中央大学名誉教授・日仏会館顧問)
18:25-18:45 報告2/半田侑子(立命館大学加藤周一現代思想研究センター研究員)
18:45-19:05 報告3/片岡大右(批評家)
19:05-19:15 休憩
19:15-19:45 著者からの応答/岩津航(金沢大学教授)
19:45-20:30 総合討議
【主催】
加藤周一おしゃべりの会/羊の談話室(仮称)
【共催】
東京大学東アジア藝文書院(EAA)
EAAシンポジウム「仏教と哲学の対話」
第4回 EAA「批評」研究会