私たちにとって、最も身近な存在は、私たちの住む家であり部屋である。コロナ禍のいま、多くの人にとって家はさらに特別な意味を持つだろう。人々を取りまく空間は、人々の感性や思考、習慣や伝統を構築する。私の「家」が、私の思考にどのように影響しているのか、私自身はわからない。それは、私が見えている世界そのものが、家をはじめとする日常生活から形作られた、私自身の思考から成り立っているからであろう。たとえ日常生活に無頓着であったとしても、日常的な生活空間は私の在り方を大いに規定するのである。本シンポジウムは、『家のイングランド:変貌する社会と建築物の詩学』(名古屋大学出版会、2019)の著者である大石和欣を基調講演に迎え、様々な家や部屋、空間についての理論や事例を検討し、これら日常生活の空間が、人間の行動にどのような影響を与えているのか、あるいは、社会や文化、時代的思潮を、部屋や空間という概念をキーワードにどのように読み解いていけるのかを考察する。
日時:2021年12月27日(月)13:00-16:00
開催方法:ハイブリッド方式
外部の方はZoomでの参加をお願いいたします。
言語:日本語
プログラム:
13:00-13:10 趣旨説明:田中有紀(司会、東洋文化研究所)
13:10-13:50 基調講演:大石和欣(総合文化研究科)「詩学としての都市空間と家、そして室内空間」
13:50-14:10 質疑応答
14:10-14:30 報告①:田中有紀「森本厚吉の住宅論:「実行」と「信仰」の偉人リビングストンと文化アパートメント構想」
14:30-14:50 報告②:前野清太朗(EAA)「台湾「うた」空間の再脱日本化とノスタルジアの変容」
14:50-15:20 報告③:白佐立(教養教育高度化機構)「暮らしと住まいの「弁証法」:ある戦後台北への都市移住者の聞き取りから」
15:20-16:00 総合討論
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