【日時】
2020年11月4日(水)16:50— 18時40分
【場所】
ZOOM(下記URLから要事前申込、定員300名)
https://forms.gle/9BwPbnByXjCB73eF9
【主催】
教養学部附属教養教育高度化機構 SDGs教育推進プラットフォーム
総合文化研究科広域科学専攻 人文地理学教室
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■要旨
中国北部,黄河の中流に当たる黄土高原は,砂漠化の最前線に位置する,乾燥が非常に厳しい地域です。日本の約1.5倍の面積に5000万人以上の農牧民が暮らし,長年「苦しい生活を続ける貧困地域」というイメージが定着してきました。一方で,古代黄河文明が生まれ,草原・遊牧世界と畑作農耕世界との狭間で,独自の文化や技術が育まれてきた土地でもあります。またこの20年ほどは,国際機関や政府,NPO等の活動によって,生態系修復と地域開発が進められ,自然環境と社会に様々な変化が生じています。本セミナーでは,黄土高原のフィールドで長年活動されてきたお2人の講師をお迎えし,多角的な視点から持続可能な暮らしと社会について再考したいと思います。皆様のご参加をお待ちしております。
■登壇者紹介
・高見邦雄((特非)緑の地球ネットワーク副代表)
「黄土高原における草の根環境協力の歩み」
発起人のひとりとして1992年に「緑の地球ネットワーク(GEN: Green Earth Network)」の設立に参加。以来,一年の100~120日を山西省の黄土高原農村で過ごし,植林活動や貧しい農村での生活支援に従事してこられました。そのご活動は国内外で高い評価を得ており,昨年もNHK WORLD-JAPAN等で特集番組が組まれたほか,これまでに外務大臣表彰,国際協力機構JICA理事長賞,中国国家友誼奨,大同市栄誉市民等,数々の賞を受賞されています。しかし,今日に至るまでには幾多の困難にも直面されてきました。
本講演では,市民や専門家を巻き込みながら続けられてきた約30年間にわたる取組みのご経験や教訓,現地の状況,農村地域の人々との交流,厳しい環境下での市井の知恵等について,お話しを頂きます。
・丹羽朋子(国際ファッション専門職大学講師・(特非)FENICS理事)
「切り紙アート『剪紙』に表された黄土高原の暮らしとコスモロジー」
国立民族学博物館共同研究員。黄土高原の農村女性の手仕事や現代美術家の芸術実践,伝統住居ヤオトンの生活空間等について,文化人類学の視点から長期フィールド調査を重ねてこられました。全国各地の美術館やギャラリーにおいて「剪紙」に関するインスタレーション展示も開催されています。また「FENICS」理事として,分野横断的にフィールドワーカーの知識や経験を共有・発信する活動にも取組まれ,100万人のフィールドワーカーシリーズ『フィールドノート古今東西』(古今書院,2016)の執筆・編集に携わられました。
本講演では,農村住民に受け継がれてきた民間芸術「剪紙」の文化,技術と,剪紙を通して見える黄土高原の人々の暮らし・信仰,政治や社会経済の影響によるそれらの変容等について,お話しを頂きます。
・原裕太(東京大学大学院総合文化研究科 特任助教)
「趣旨説明」・「SDGsと黄土高原」
本セミナーのモデレータを務めます。陝西省の黄土高原農村で,地理学,地域計画学の立場から調査研究を続けています。お2人のご登壇に先立ち,SDGsの理念,黄土高原の地域的特徴や課題,本セミナー開催の趣旨等について,諸分野の先達によって明らかにされてきた成果を含めてお話しさせて頂きます。