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2024.02.19

悦びの記#23(2024年2月18日)

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悦びの記#232024218日)

 2月はあっという間に過ぎていきます。大学教員にとって一年で最も忙しい時期だからと言うだけではありません。立春を迎えて始まるこの月は、冬と春がせめぎ合うようにめまぐるしく気候が変わることもせわしさを醸し出す一因なのだと思います。先週の木曜日(215日)にキャンパスの砂埃を巻き上げながら吹いた南風は今年の春一番であったとその日のニュースが伝えてくれましたが、旧正月(210日)を中間に挟んでちょうど十日前には近年の東京では珍しいまとまった積雪がありました。

 その25日、降り始めた雪のなかでわたしたちはソウル国立大学自由専攻学部の学生さん20名と教職員6名をお迎えしました。東アジア藝文書院はEALAI(東アジアリベラルアーツイニシアティブ)のもとに置かれた組織ですが、このEALAIはかつてキャンパス・アジアを運営していました。それは、北京大学元培学院、ソウル国立大学自由専攻学部、東京大学教養学部という中韓日三大学のリベラルアーツ学部が学生を相互に派遣し合う交換留学プログラムでした。EAAが北京大学とのジョイントプログラムとして始まったことは皆さんご存じの通りですが、こうした経緯もあって、いずれはソウル国立大学も含んだ研究教育交流を実現すべく、当初からその可能性を模索しながら今日に至っています。

 2020年からのCOVIDパンデミックに阻まれて実質的な交流は進展することがなかったのですが、このたびようやくEAAによるソウル国立大学との交流がこうして実現しました。

 交流には韓国朝鮮語履修者を中心に一般募集した学生さん15名が参加してくれました。短い時間ですがランチやキャンパス見学を挟みながら、「教養」とは何かについて突っ込んだ議論が交わされ、互いにとても楽しい交流となったことは双方の参加者の表情によく現れていました。

 引率の梁一模先生は本学文学部の中国思想文化学研究室のご出身でわたしにとっては直接の先輩にあたります。梁先生に初めてお目にかかった日も大雪であったことを彼に告げると、「瑞雪」ですね、と微笑みながら返してくださいました。適時に降る雪は来る年の吉兆を示し、これを「瑞雪」と言います。「瑞雪兆丰年(瑞雪豊年を兆す)」とは中国で人口に膾炙した諺です。

 2019年に東アジア藝文書院が立ち上がってから5年。ようやく名実共に東アジア大の交流を担うためのスタート台に立つことができました。

 豊かな年になりますように!