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2022.01.14

悦びの記#2(2022年1月14日)

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EAAユース第3期生の募集ガイダンスが連日のように行われています。やむを得ぬ事情がない限り、対面で学生さんにお会いしたいので午前中から大学に来ていますが、今日はEAAオフィスに入ってまもなくして、第1期生の学生、金城恒さんがたまたまやってくる場に遭遇しました。現役のユース生の中でもEAAの活動に積極的に関わってくれている一人ですが、オンライン授業が多い現状ではなかなかキャンパスで会うチャンスはありません。聞くと、ついいましがた卒論を提出してきたその足で寄ってくれたのだということで、オフィス勤務の髙山さんと共にたいへんうれしい気持ちになりました。

 学部の卒業論文は、ほとんどの学生さんにとって初めて執筆するまとまったモノグラフですから、そのプレッシャーは相当なものであるはずです。悪戦苦闘したあげく無事に完成して提出した後の解放感にもひとしお特別のものがあることでしょう。わたしも最後の一晩をほぼ徹夜して、窓外が明るくなり始め鳥のさえずりが聞こえ始めたころに何とか完成させたことを思い出します。

 彼のことは2年生の後半に授業でごいっしょして以来、さほど近くはなかったとは言え、ずっと見守ってきておりましたので、この2年あまりの間にぐんぐん伸びているようすに、わたしはただひたすら驚いていたのです。若さゆえのそうした成長のエネルギーが発揮されるさまを横で見ることができるということだけでも、教員とはなんと幸せな職業であることかと感じずにはいられません。卒論執筆というのは、きっとそういうエネルギーが一気に迸り出るような荒々しさに突き動かされて行われることにこそ、他の論文にはないであろう尊さがあるのではないかとわたしなどは思ってしまいます。金城さんをこの場で再度祝賀したいと思います。

 また、彼がこうしてふらりと立ち寄ってくれたことに対しても、感謝したいと思います。EAAは、学生さんたちがいつでも立ち寄ってくれる場であることに自らの存在意義を見出しています。駒場の一角、かつて設高等科の生徒が学んでいたこの特別な建物の一室は、〈学問の友情〉に向けていつも開かれていますので、どうぞ皆さんふらりとお越しください。

石井剛(EAA副院長/総合文化研究科)