2024年12月14日(土)、第26回藝文学研究会は「おおくすセミナー」として、徳島県三好郡東みよし町のおおくすハウスにて開催された。東アジア藝文書院(EAA)と東みよし町との交流は、民俗学研究者の山泰幸氏(関西学院大学)による東みよし町を対象とした調査や地域興し活動を契機として始まり、京都大学防災研究所など多方面からの協力を得ながら継続してきた。
EAAからはこれまで中国仏教や中国思想、日本文学専門の研究者が発表者として参加してきたが、今回は黄霄龍(EAA)による発表「共同体・日常・衝突―寺院史料から日本中世の地域社会を読み解く―」が行われた。コメンテーターは山泰幸氏、趣旨説明は田中有紀(東京大学東洋文化研究所)、司会は汪牧耘(EAA)が担当した。開催形式はZoomを併用したハイブリッド型であり、当日の出席者は合計30名を超えた。
日本中世の地域社会において、仏教寺院がさまざまな社会的機能を担っていたことは広く知られている。今回の発表では、福井県の平泉寺、西福寺、大谷寺を事例として取り上げ、中世地域社会の日常と寺院が関わる衝突の様相を解釈した。また、日本史学分野における地震関連研究の最近の成果を紹介し、発表者(黄)自身の研究経験も踏まえ、歴史学研究者が行う史料調査と地域の人々との関係性についても触れた。
2日目には恒例行事として、東みよし町加茂にある喫茶店「パパラギ」にて「哲学カフェ」が開催された。参加者は約30名で、愛媛や兵庫からの参加者も含め、さまざまな地域から集まった。テーマは「災害と自己責任論」。参加者はこのテーマについて自由に語り合い、二日間にわたり国内外の研究者や地域住民が交流を深める貴重な機会となった。
報告者:黄霄龍(EAA特任研究員)