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2024.02.28

【報告】第17回 藝文学研究会

2024年2月21日、東洋文化研究所およびオンライン(Zoom)にて、第17回藝文学研究会が開催された。今回は田中有紀氏(東洋文化研究所)が「中国中世 楽の学び:琴学と音律学」というタイトルで発表し、古勝隆一氏(京都大学人文科学研究所) がコメントした。

田中氏の発表は、中国中世の学びをテーマとする執筆中の著書をもととするもので、音楽を「学び」という側面から論じた。内容は「琴」と「音律学」からなっている。まず、儒教と音楽の中で、琴が持つ意味を確認し、琴が漢から隋・唐時代の人々にとって「学び」の対象として考究され続けてきたと指摘した。さらに、荻生徂徠の琴の捉え方を検討し、中国の音楽が日本の雅楽に与えた影響にも言及した。次に、魏晋南北朝期の音律学に関して、特に笛の管口補正理論を事例に、音楽の「理論」と「実践」を論じた。

コメンテーターの古勝氏は次のようにコメントした。具体的な楽器を取り上げたことで、書籍化する際に読者層を広げることができること、それぞれの楽器の有する特徴と独自の意味がコントラストを形成していること、古の礼を復元する際に後世の議論としての荻生徂徠の事例は重要であるということである。続いて古勝氏は、時代の流れの変化における音楽とその担い手の変容過程について質問した。

参加者には出版社の方なども加え、書籍化に向けてさまざまの視点からコメントが寄せられた。刊行が楽しみである。

 

 

 

報告者:黄霄龍(EAA特任研究員)