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2023.12.11

【報告】第15回 藝文学研究会

2023年11月21日(火)16時より東京大学東洋文化研究所第1会議室にて、黄霄龍(本ブログ報告者:EAA特任研究員)による第15回藝文学研究会(着任報告会)「宗教的ヒエラルキー、競合、パトロン:中世北陸の仏教寺院」がハイブリッドで開催された。

 

これまで日本の14〜17世紀までの北陸地域(主として越前と若狭、現在の福井県)をフィールドに、寺院と社会の諸階層について研究してきた報告者は、本発表では近く刊行される単著『日本中世の地方社会と仏教寺院』(吉川弘文館)に基づいた研究内容を紹介した。地方社会に伝来している古文書を主な素材として、報告者自身による現地の宗教的ランドスケープに関する調査から得た知見も混じえながら、①仏教寺院間の競合関係、②寺院と地域のパトロンとしての武家権力との利害関係、③地方の寺院と中央(京都)の寺院との繋がりを分析した。その後、黄氏は明清中国の仏教寺院と比較する視点から、日本中世の地方社会における寺院の位置付けや、宗教施設としての日本中世寺院の特質についても展望を語った。

質疑応答では、パトロンによる寺院への外護の目的や、中国の寺院と儒者との関係などについて議論が盛り上がった。

 

 

報告者:黄霄龍(EAA特任研究員)