2023年12月18日午後3時半、教員2名と職員1名が引率し、「東アジア教養学演習」の授講生8名とリサーチ・アシスタント6名、合計17名が、戦時性暴力に焦点を当てたアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」を訪れた。
資料館のスタッフがガイドを務め、約45分間の説明があり、その後、30分の自由な見学が行われた。午後6時までにはQ&Aセッションが開催され、参加者はスタッフに対して質問をし、資料館のメッセージや雰囲気の作り方、資金源、社会との関わりなどについて探った。また、「女性国際戦犯法廷」の拘束力や影響力、「日本軍「慰安婦」」という用語の由来、語り部による記憶の継承に関する議論も行われた。
今回の企画は、「戦争をどう記憶すべきか?」という報告者自身の問題意識に基づいている。戦争が二度と繰り返されないように、過去の戦争の全貌を理解または認識し、その悲劇から反省することは当然のことだと考えられるとしたら、自国の犠牲や英雄譚を「一方的に」強調する軍事パレードや追悼式、記念施設、テレビ番組、映画、教科書などはどのように捉えるべきなのか?戦争の全てを記憶すべきなのか?それとも人や組織、時間、場所によって、特定の目標を掲げて記憶を取捨選択するべきなのか?そもそも私たちは記憶を自由に選択できるのか?世界の各地で戦争が続いており、「戦後」80年を迎えている東アジアでも緊張が高まっている中で、過去の戦争をめぐる記憶が各地のナショナリズムと結びつくことを受けて、身近な「記憶の場」に足を運び、それをきっかけに「戦争をどう記憶すべきか?」を問うことは、過去・現在・将来の戦争に向き合う私たちに有意義な経験であると考えられる。
この見学が参加者にとって、戦時性暴力、女性の人権、そして記憶のあり方について考えるきっかけとなれば幸いである。
報告・写真撮影:銭俊華(EAAリサーチ・アシスタント)