2023年3月18日(土)14時より、第21回東アジア仏典講読会をオンラインにて開催した。今回は小川隆氏(駒澤大学教授)に『宗門武庫』第9段、真の参禅の志をめぐる葉県帰省と浮山報恩の話をご講読いただいた。
葉県帰省は極めて厳格な宗風の持ち主で、当時の修行僧から恐れられた北宋の禅僧である。そこに弟子入りして厳しい指導に耐え法を嗣いだのが、浮山法遠であった。法遠がその門を叩いたのは雪の降る厳寒の日のことであり、帰省に水を浴びせられても怯むことがなかった。入門が許された後も、ひそかに修行僧にご馳走を振る舞ったことで寺を追い出され、周りが幾ら取りなしても帰参が認められなかった。そのような厳しい仕打ちにめげることなく、帰省の非情なまでに厳しい要求に応えたことで、ようやく寺に戻ることができたのだという。
以上の内容に対し、入宋した道元の関連する逸話が参加者より紹介され、当時の禅寺における指導の仕方について議論がなされた。
報告者:柳幹康(東洋文化研究所)
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