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2024.03.26

【報告】第20回東アジア仏典講読会

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2023年2月18日(土)14時より、第20回東アジア仏典講読会をオンラインにて開催した。今回は前回に続き土屋太祐氏(新潟大学准教授)による『宗門十規論』の講読、および小川隆氏(駒澤大学教授)による公案の用例の紹介がなされた。

 

 

土屋氏は『宗門十規論』の第六・七章を講読してくださった。第六章では禅を学ぶ者は師を選び友に親しむべきこと、良し悪しを見分けたうえで理(真理)と事(現象)を兼ね備え後進を正しく指導すべきことが述べられている。第七章では決まり文句を記憶するだけでは臨機応変な働きが得られないこと、禅の智慧は空寂の境地から現れるものであり、いわゆる常識の範囲内では真理を理解しえないことが記されていた。

 

 

小川氏は豊富な用例から「公案」の語義とその変遷を示してくださった。「公案」の語は古くは唐代に見え、役所の書類・公文書の意であった。それが唐末の禅籍では、決着すべき眼前の事案や先人が遺した未解決の禅的課題を指すようになり、更に宋代になると所謂「古則公案」、すなわち参究すべき先人の問答の記録という意で用いられるようになったという。

以上両氏の発表に対して参加者より質問がなされ、活発な意見交換が為された。

 

報告者:柳幹康(東洋文化研究所)