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2022.12.14

【報告】第11回 EAA「民俗学×哲学」研究会(2日目)

2日目は、東みよし町加茂にある喫茶店パパラギにて、哲学カフェが開催された。今回のテーマはSDGs。30名ほどの参加者全員が、SDGsについてそれぞれ自由に語った。農業もしている東みよし町の役場OB島尾氏は、グローバルな価値観がローカルを圧迫するものではないかと述べた。地元で会社を経営しているという参加者は、会社で20年間地域の掃除を続けてきて、住民から御礼の手紙が来たということから、長く続けていくことの大事さを語った。張氏は、亀岡の保津川下りを訪ねて、そこでのごみ問題に触れたことを挙げ、ごみの発生源である上流に迫っていくこと、recycleよりもreduceを重視すべきことを言った。地元からの参加者は、家の周囲だけで行動し、物々交換で生活を成り立たせること、そうすれば与えたものは別の形で戻ってくる、もう年齢を重ねているので家の物を増やさないということを語った。以後、貨幣の問題が参加者の念頭に置かれ続けたと思われる。柳氏は、専門の仏教について触れつつ、個人では過剰な欲望を制御する一方で、環境・社会に配慮した企業・組織などをそれぞれ無理のない範囲で応援することにより、よりよい未来が開けるのではないかと述べた。田中氏はSDGsの前に提唱されていたMDGsに触れ、それは途上国のためにやってあげることだったが、SDGsは自分事としてやることのはず、しかし、本当にそうなっているだろうか、推進する側は、自分が不当な立場に立たされることを想定しないでいるのではないかと語った。報告者(高原)は、学生であることの立場について触れ、学生というのは宙ぶらりんで、それ自体持続可能とは言いがたく、自分については親抱えであり、SDGsとはつまり、「いつまでもあると思うな親と金」ということで言い表されるのではないかとした。

今回は参加者が多く、またそれぞれ熱弁をふるったため、一周するとほとんど時間が無くなってしまい、次回のテーマの候補を挙げることへと移った。次回、三十回目の哲学カフェのテーマは、「こだわり」に決まった。3月末の日曜日にまたパララギで、こだわりをテーマに第三十回の哲学カフェが開催される予定である。

※哲学カフェに関しては、山泰幸「語り合う場のデザイン――哲学カフェの試みから」(京大防災研ニュースレター、101号、p.7)の記事をご覧ください。
https://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/web_j/dprinews/news101.pdf#page=7

 

中央は哲学カフェについて説明する島尾氏

 

報告者:高原智史(総合文化研究科博士課程)