長野県松本市の旧制高等学校記念館では、毎年夏期教育セミナーが開催されてきた。2019年の第24回セミナーにはEAAメンバーも参加したところである(ブログ参照)。
2020年はコロナ禍のため開催されず、2021年になって、2年ぶりに第25回のセミナーがオンライン開催された。8月28日にZoomにて、中澤篤史氏(早稲田大学)から「学生スポーツの歴史:戦前・戦後・現在」と題した基調講演があった。中澤氏は、戦前から現在に至る、部活を中心とした学生スポーツにつき、正の側面にも、顧問教師の負担や事故といった負の側面にも触れつつ、講演をされた。
他に、YouTubeにて、オンデマンドの研究発表が二つ用意された。一つは、今回のセミナーにEAAから発表をすることを勧めてくださった、冨岡勝氏(近畿大学)の「雑誌『校友』にみる旧制松本中学の生徒自治像――どんなことが「自治でない」とみなされたのか」である。冨岡氏は、生徒の「自治」につき、自治のどの側面が強調されるかという点で、時代による違いが生じる可能性があるだろうとし、今後もそのことが意識されることが、「自治」の取り組みを振り返るヒントになるかもしれないとした。
もう一つが、EAAの「藤木文庫アーカイヴ」プロジェクトメンバーによる共同発表「新出資料「藤木文書」の紹介――戦時下の一高留学生課長・藤木邦彦と留学生たち」であった。メンバーは、発表者として宇野瑞木氏(EAA特任助教)、横山雄大氏(EAAリサーチ・アシスタント)、日隈脩一郎(EAAリサーチ・アシスタント)、宋舒揚(東京大学大学院総合文化研究科博士課程研究生)及び報告者(高原)、そして動画編集担当の小手川将の6名である。発表の内容に関しては、同8月4日に開催したプレ発表会の記事をご参照いただきたい。
2022年の夏は、コロナウィルスの状況が収まり、再び松本の記念館で夏期教育セミナーが開催され、EAAから更なる研究の成果を発表できることを祈念したい。
報告者:高原智史(EAAリサーチ・アシスタント)