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2025.03.19

鵬程万里:RA任期を終えて 14 林子微さん

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気がつけば、2年間のEAAの旅が終了しました。

EAAでのこの2年間は、まさに自分の研究が転換を迎えた期間でした。修士課程では、私は辺縁地帯と辺縁的な人々を研究テーマにしていました。それは、辺縁的な存在に未来への可能性を見出すという、非常にロマンチックなテーマだったといえます。しかし、博士課程に進んだ後、史料の制約に直面し、研究の方向性を皇帝儀礼や制度に関するものへと転換せざるを得ませんでした。この転換には大きな葛藤が伴いましたが、EAAでの学びがそれを乗り越える支えとなりました。あるイベントで、私はこのような議論を耳にしました。「権力を取り消すことはできない。道徳を変えることは重要だが、それだけで世界は変わらない。経済と政治の構造を変えることが必要だ。主流が必ずしも善であるとは限らないが、そこには権力がある。」この言葉は、私に権力への恐れを克服するきっかけを与え、自分の研究に対する迷いや不安を解消してくれました。EAAの視線は未来に向けられていますが、私の研究は1500年前の歴史を探求するものです。しかし、この社会の未来に対する見方が、過去への洞察を更新すると信じています。

学生たちとの交流も、私に新たな認識をもたらしました。EAAのクラスには東京大学や北京大学の学部生がいますが、それぞれ異なるスタイルを持ちながらも、どこか共通する気質があると感じました。あるディスカッションセクションで、みんなでアルバート・ハーシュマンの『反動のレトリック』について議論しました。少し意外だったのは、学生たちのほとんどが依然として二極の間に中間領域が存在すると信じ、一時的な挫折が長期的に積極的な影響をもたらすと考え、歴史は今なお前進し続けると確信していたことです。これこそが青年なのだと感じました。

最後に、先生方や同僚の皆様についてお話しさせていただきたいと思います。私の日本語能力は十分ではなく、専門的な知識にも乏しく、しばしば自分がうまくできていないと感じることもありますが、皆様は常に温かいご支援をいただき、心より感謝申し上げます。皆さんとともに富士山へ旅行し、女たちの戦争と平和資料館(wam)を訪れ、横浜トリエンナーレに行き、多くの素晴らしい思い出を作ることができました。特に、横浜トリエンナーレで見かけた紙箱に描かれた一枚の絵が印象に残っています。それは、小さなスズメが捕獲網に軽やかに止まっている姿を描いたものでした。この絵は、私にとってEAAでの学びを象徴するイメージの一つとなりました。微小な存在ではありますが、自由についてより深く考える機会を得ることができました。