私は2024年9月6日から2025年1月12日の間、EAAのプログラムを通して、北京大学の元培学院に留学しました。以下、四つの項目に分けてその報告をしたいと思います。
●授業と学習環境
北京大学では、中国でしか学べないものを学ぶ、古典的名著を味わう機会を作る、という二点を軸として授業を履修、聴講しました。履修、聴講した授業は全て中国語を教授言語とするものです。東大と違い、授業時間は1コマ50分となっており、コマ間には10分間の休憩時間が設けられています。多くの授業が連続2コマ、3コマの形をとっており、3コマ構成の授業では、中国語を聞き取らねばならないという労力もあってか、毎回授業後どっと疲れを感じていました。
特に印象深かったのは社会系の渠敬東教授が担当する《马列经典著作选读》です。渠敬東教授とは留学直前に仙台で開催されたEAA Summer Instituteで知り合い、その縁もあってこの授業を履修することにしました。授業ではマルクス主義の理論から離れて、マルクスのテクストそのもの読解しようというもので、昨今日本ではなかなか扱うことのないマルクスの著作を深く味わうことができました。
授業の予習復習は主に図書館やカフェ、寮の自室で行いました。ただし、図書館は皆が昼食を終える1時頃から学生でごった返す上、Wi-Fiが弱いことも多く、留学後半は部屋専用のWi-Fiが引いてある自室で自習することが多かったです。
●衣食住について
住まいは大学構内の35号楼(通称、元培楼)の4人部屋でした。慣れない集団生活で、ルームメイトとの文化的差異も少なくなく、初めは不便がなかったとは言えませんが、徐々に慣れていきました。ルームメイトはとても優しく、留学開始から間もない頃に私が熱を出した際、解熱剤をデリバリーで頼んでくれたことは忘れられません。
食事についてはよく家园食堂を利用していました。夜遅くまで授業がある日には夜10時まで営業している学五食堂によく行きました。フードデリバリー(外卖)も非常に手頃な価格であり、日本食が食べたい時などに利用していました。
衣服や生活必需品については淘宝で注文することがほとんどでした。北京の冬は寒いので棉裤や毛裤のような防寒具があると頼もしいです。キャンパス内の移動では2000元程で購入した電動バイク(电动车)を利用しました。北京を離れる際、1200元程で売りました。
●課外活動について
サークル活動としては韓国語の授業や韓国語での交流活動を行うサークルに参加していました。私は最上級クラスである高級班に所属していましたが、クラスには極めて流暢な韓国語を話す中国人学生が多くおり、かなり驚きました。
ネットや書籍上で得た中国各地についての情報が正しいのか実際に確かめるために、授業の無い日を活用し、中国国内旅行にも何度も行きました。内モンゴル自治区や延辺朝鮮族自治州を訪れた際には、急速な漢化の進展を肌身に感じました。
●医療について
体の不調がある際は留学保険の効く北京万柳优合诊所を利用しました。12月末にインフルエンザを患い、症状が重症化してしまった際は上記の病院で診療を受けた後に病院の紹介で別の大きな病院(善方医院)に移り数日間入院しました。入院した部屋は設備の整った立派な個室でしたが、自費負担は無かったので、留学を検討しているみなさんも万一の際の医療については安心して良いと思います。
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ハルビンを訪れた際に発見した北京大学生による「氷の建築」
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キャンパス内移動で利用していた電動バイク
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渠敬東教授《马列经典著作选读》の授業の様子
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