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2025.02.18

【報告】2024年S/Aセメスター北京大学派遣留学報告 工学部 小井沼孔心

私はEAAの交換留学制度を用いて、2024年2月18日から2025年1月12日まで北京大学の元培学院という部門で交換留学をしていました。
東京大学では全学交換プログラムがあり、在学中に交換留学を経験する学生のほとんどがそちらを利用して交換留学します。私も当初は全学交換プログラムを利用して留学に行こうと考えていたりもしました。その中でEAAを選択したのはいくつか理由があります。
1つ目に、手続きが簡素であるということです。全学交換に比べて学生側が担わなければならない手続き方面の煩雑さがEAAの方が少ないと感じました。EAA事務室の支援が非常に手厚く、安心して留学準備を進められたと感じています。
2つ目に、現地寮に住むことができる点です。全学交換では留学生用の寮に住むことになり、個人の個室があり、寮費も日本で家を借りる程度の費用がかかります。しかし、現地寮は基本的に中国人しか住んでおらず、4人部屋で、寮費が1学期で1万円程度しかかかりません。1ヶ月に3000元の生活費を奨学金として頂いていましたが、それでも十分と感じられました。また、周りに中国人しかいない環境で、自然と中国語を話さなければならず、中国語能力の上達や、現地の友達を作ることに大きく貢献したと考えています。
3つ目に、元培学院という帰属意識を感じられたということです。全学交換では基本的に国際合作部という部門に配属され特に特定の学院に所属しない形になりますが、EAAの交換だと元培学院の所属になるので、元培学院のメンバーの1人としての帰属意識を感じることができ、現地に融合したような気持ちになって非常に楽しかったですし、元培学院の有志が開催する月餅作りや餃子作りやピザパーティーなどのイベントに参加することができて非常に有意義な時間を過ごせました。
このようにただ部門が違うというだけで多くの異なる点があり、それぞれ私の留学生活を彩る大切なものであったと感じています。なので私自身はEAAを通して留学に行ってよかったとかんじています。

さて、留学を初めた当初、EAAの交換留学には明確な中国語能力の要求水準がないため、中国に到着した翌日からすぐ現地の学部生と同じ授業に参加し、勉強を始めました。とった授業は少なかったのですが、3年勉強しているとはいえ第三外国語で受ける授業は非常に難しいと感じました。専門用語がわからなかったり、先生の訛りが強くて何を言っているかわからなかったり、先生から出された質問に言葉が詰まったり、様々大変な思いをしましたが、放課後に懸命に授業の復習をしたり、同時並行で中国語の勉強を独自に進めたりしたことによって段々と授業の理解度が上がっていきました。そのことを感じた時に非常に達成感を抱き、努力が報われたような感じがして非常に嬉しかったです。
しかし、去年の6月に春学期には、授業の受けやすさを重視したことによって、自分のとりたい授業が取れていないという思いや、自分が中国に留学に来たことの種々の目標が果たせていないという思いなどがあり、考えた挙句留学をもう半年延長することに決めました。EAAの教師陣との相談を通して決め、北京大学側に留学延長の申請を行い、中国から日本へ一時帰国する前に半年の留学ビザの延長を行いました。色々手続きの時にごたついてしまい、当初の帰国日時から10日ほど遅れて帰国することになりました。なので、もし留学延長を考える人たちがいたら、「住宿登记」は早めに行うことをお勧めします。また、ビザの更新も帰国の1ヶ月前程度から準備を始めることをおすすめします。

そして9月から始まった後期では自分の勉強をしつつ交換留学をしようと考えていたので、履修した科目こそそこまで多くはなかったですが、聴講も含めて自らの興味に沿って履修することができました。後期はいろんな場所に旅行に行ったり、友人と食事に行ったり、近くに遊びに行ったりという経験が前期より多くできて非常に楽しかったという記憶があります。また、後期はいろんな友達や知り合いが周りにいたことから、政治や社会、国際関係について色々意見の交換や、討論ができて双方にとって非常に有意義な意見交換が多くできたと感じられました。北京大学の自由な校風、自由な思想という部分に非常に感銘を受けた瞬間でもあります。中国に来る前にも自分としては偏見を持たないように意識して物事を見ようとしていましたが、中国に来て何が正しくて何が正しくないかを見極めることの大切さや、慎重さのようなものを多く学べた気がします。これこそが私の留学の中で1番の収穫であったと感じています。

最後に、留学というのは楽しいことも嬉しいこともいっぱいありますが、母国から離れて異なる文化圏で長時間生活する大変さや、慣れない言語や人たちに困惑したり、孤独を感じたりすることもあると思います。ただ、そこから100歩上達することを考える必要はなくて、毎日1歩でも、半歩でも頑張ることを意識すれば10ヶ月で最低150歩進めます。私のような消極的な人間は大きな目標の前に足がすくんでしまいますが、まずは半歩進むことを意識して頑張ってみると1年でとても大きな収穫が得られます。大変だとは思いますが、留学生活が実りのあるものとなるように祈っています。

 

ルームメイトに撮ってもらったキャンパス巡りでの写真