2022年9月21日(水)17時よりZoom上にて東京大学グローバル・スタディーズ・イニシアティヴ(GSI)キャラバンプロジェクト「主権の諸条件」第5回ワークショップが開かれた。今回はマルクス・ガブリエル氏(ボン大学)がドイツからオンラインで登壇し“Democratic Sovereignty, Border, War – The Dialectics of Eternal Peace(民主主義的主権、国境、戦争——永遠平和の弁証法)”と題し、英語講演を行った。ガブリエル氏はCOVID-19の感染拡大以来の国境を越えた移動、旅行者の身体管理、日本の地理的な閉鎖、ウクライナの戦争、ロシアや中国の独自の政治システムといった現況の具体例に言及しつつ、根源的にジレンマを抱えたデモクラシー=民主主義は終わらない弁証法の運動のなかで、普遍的な人間の価値、人間の尊厳を追求する倫理的機構であることを述べた。急な時間変更によって質疑応答の時間は限られたが、オンラインで80名超が視聴するなか、ガブリエル氏が提言する急進的中道派(radical center)の可能性や国民国家(nation state)の未来についてアメリカ合衆国を例に問うなど、戦後ドイツの歩みに色濃く縁取られた氏の議論についてとりわけ日本の様子と比較しながら密度の高い議論が行われた。
報告:髙山花子(EAA特任助教)
【報告】「書院を考える」研究会第2回
【報告】太田光海氏講演会「変容する森と、創発としての真実—現代高地アマゾン熱帯雨林における身体知と絡まり合う自己—」