フォークロアの空間性
古代の物語や伝統の所蔵庫としばしば捉えられるフォークロアは、実際には、人間の経験を形作る動的で現代的な力であり、私たちの日常生活に欠かせない一部を形成している。1846年にウィリアム・ジョン・トムズによって初めて造られた「フォークロア」という言葉は、当初、地方の伝説、迷信、方言の研究を指し、これらの要素を過去の文化的「生き残り」として位置付けた。しかし、時が経つにつれて、民俗学者たちは、この理解を建築から料理、方言から迷信に至るまで、日常的な実践や物質性を含むように拡大し、コミュニティがその住環境とどのように相互作用し、地元、地域、国家の識別性を形成しているかを反映するものとなった。この視点はフォークロアを人文地理学と結びつけ、これらの文化的特徴が「場所の感覚」またはゲニウス・ロキ(genius loci)を創出し、人間の経験を形作る役割を強調している。
ゲニウス・ロキ:場所の精神
ラテン語のゲニウス・ロキ(genius loci)は「場所の精神」を意味し、フォークロアが文化を地理と結びつける方法を示している。古代ローマの宗教において、この概念は特定の場所を守る精霊を指し、18世紀にはヨーロッパの風景設計に、そして後には文化地理学において「場所の感覚」という考えに拡張された(アグニュー 1987年)。建築理論や歴史の分野では、クリスチャン・ノルベルグ=シュルツ(1980年)や鈴木博之(1990年)といった思想家たちが、この地理的な「精神」を、場所の物理的特性、歴史的層、文化的共鳴を含む有形および無形の本質として説明してきた。
しかし、フォークロアの視点から見ると、ジェニイ・ロコルム(genii locorum)は単なる比喩ではなく、特定の場所に結びついた文字通りの精霊、神格、または存在である。これらの超自然的な存在——守護的、悪意的、象徴的なものを問わず——は、場所がどのように経験されるかに影響を与える物語を形成するのに役立つ。たとえば、東京のアイデンティティは、各地区独特の雰囲気を形成し、その空間の公共的な想像や経験に影響を与える超自然的な信仰や物語と密接に結びついている。このようなフォークロアと地理学の相互関連性は、物理的要素と精神的要素の両方が「場所の感覚」、すなわちゲニウス・ロキの形成に寄与することを示している。
空間性:物理的次元を超えて
文化地理学における空間性は、空間が人間の活動によって形成され、またその活動を形成する方法を表している。静的な境界ではなく、空間は社会的プロセス、歴史的出来事、文化的実践の組み合わせによって影響を受ける流動的な構造として見られる。フォークロアは、この流動性を伝統や信念を進化する社会的文脈に適応させることで体現している。特に20世紀半ばに、地理学者と民俗学者の協力によって生まれた短命の分野「フォーク・ジオグラフィー(folk geography)」では、文化的実践や伝説の分布がマッピングされ、地域の民俗文化のような伝統が、時間と空間を超えてコミュニティ間のつながりをどのように作り出したかが明らかにされた。フォークロアの適応性——口頭、デジタル、パフォーマンスを通じて伝えられる能力——は、歴史地理学の文脈だけでなく、今日においても文化的アイデンティティを保存し、再構築する関連性を保証している。
結論
フォークロアは本質的に空間的であり、複数の段階で地理と交差する動的なプロセスとして存在している。物語、実践、信念を通じて、フォークロアは文化遺産を保存するだけでなく、場所に対する私たちの理解を積極的に構築し、再定義する。ゲニウス・ロキは、文字通りの精霊として解釈されるか、比喩的な雰囲気として解釈されるかにかかわらず、物質的および非物質的要素が空間における人間の経験を形作る相互作用を強調している。東京のフォークロア——幽霊伝説から戦略的な寺院の配置に至るまで——は、これらのプロセスが都市の文脈でどのように機能するかを例示し、文化、地理、精神の深いつながりを探求する視点を提供する。
将門塚(首塚)
報告:ジェームズ・サーギル(グローバルコミュニケーション研究センター特任准教授)
写真:野澤俊太郎(EAA特任准教授)