2日目の会議は午前中から始まり、第4セッションはErik Schicketanz氏(國學院大學准教授)が司会を務めた。Daniela Campo氏(ストラスブール大学准教授)は、いま取り組んでいる課題「民国時代の仏教儀式と国家」について発表し、仏教徒と新しい国民国家との関係がどのように後期帝政期中国から民国期の各段階、そして毛沢東の時期にかけて変化したかを把握すること、それを通して最終的に現代中国の建設における中国仏教徒の役割を解明することは今後の重要な研究方向であると述べた。Justin Ritzinger氏(マイアミ大学教授)は、太虚法師の海外訪問の意味を見直し、これまでの研究には国家の視点が欠けていると指摘した。太虚の訪問は一人の功績ではなく、多くのステークホルダー(中国人と外国人、仏教徒と非仏教徒、国家と非国家)の協力と努力と関わっており、社会行動と相互作用の観点から見ると、太虚の海外訪問は単に宗教的使命としてではなく、外交的使命として理解されるべきである。Fabienne Jagou氏(パリ東方言語文化学院准教授)は、チベット仏教と漢伝仏教の大師がどのように民国時代の国家建設に参画し、漢伝仏教界におけるチベット仏教の発展を促進したかを検討した。大師一人一人がチベット仏教の伝統と自分の財産を守るために、政府の政策に適応し、政治家の支持を求めるよう努力したと指摘された。
第5セッションは汲喆氏が司会を務めた。邵佳徳氏(南京大学准教授)は、円瑛法師の戦時中の受難の顛末と政治的立場を切り口に、近代仏教と政治の複雑な関係を示した。太虚と比べて、円瑛は仏教本位を堅持し、そのため疑問と抑圧を受けたが、終始宗教者の本来面目を堅持したという。時代の流れのなかで円瑛は政治との「駆け引き」が日に日に成熟し、中国仏教を発展させることができたと指摘された。道悟氏(会稽山高等仏学研究院副院長)は、閩南仏学院の発起人の一人である瑞今の発言に注目し、民国僧への反戦教育における閩南仏学院の役割について発表した。特に、1936年前後の学潮事件は、当時の中国仏教界全体が学校経営ブームから仏教の現状を考える過程に転じたことを代表する出来事だと述べられた。Erik Schicketanz氏は「新しい東アジア秩序のもとの楽土:抗戦時期の五台山」を発表し、五台山は華北を争う戦略的要所であり、政治的戦略だけでなく、文化と宗教(権力の文化的紐帯)の面でも重要な意義があったと指摘した。
シンポジウムは午後17時に終了し、陳継東氏は2日間の成果をまとめた。参加者の発表は、あるいは人物・組織・儀礼、あるいは横断的、概念史的な視点を通じて、中国近現代国家と仏教の関係を研究するための多様で新しい方向を提示できた。今回のシンポジウムは研究者に国際交流のプラットフォームを提供しただけではなく、歴史と文化における近現代中国仏教の役割について議論する機会を作った。今回のシンポジウムの論文集が出版されるのをとても楽しみにしている。
報告者:黄霄龍(EAA特任研究員)