2023年2月16日(木)、本年度EAA連続ワークショップ「中国近代文学の方法および射程」の第一回目にあたる、康凌氏(復旦大学)による講演「左翼詩歌における感覚経験と都市空間の闘争」がオンラインで行われた。司会は鈴木将久(東京大学人文社会系研究科)が務めた。
中国の左翼文学者は、1930年代、デモや集会などの方法で街頭の集団的闘争に参与した。この講演において康凌氏は、左翼文学者の街頭闘争の経験について、作品テクストにおける「声」の表象、無産階級の「都市空間の経験」、左翼文学と都市空間の「公共性」というう三つ問題を中心として議論を進めた。とくに殷夫の詩歌テクストを中心として、街頭闘争およびその文学テクストにおける感覚経験の機能と意味を分析し、左翼の実践に内包されている独特の都市空間感知方式を論じた。
この講演は、中国文学研究においてこれまであまり注目されてこなかった文学者とテーマについて、都市空間の感覚という新しい角度から論じたものであった。30名近い参加者が集まり、康凌氏の刺激的な報告をめぐって盛んな議論がなされた。
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【報告】EAA/東文研共催セミナー“Tōshōgū as a Source of Sacred Legitimacy: Festivals of the Gosanke in Tokugawa Japan”